陣痛はどのように始まる?陣痛の痛みの特徴や前兆、病院に行くタイミングを助産師が解説

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2024-05-19

出産や胎盤を排出するときにおこる子宮の収縮に伴い、お腹の張りや痛みが規則的に訪れる「陣痛」。妊娠37週以降は、赤ちゃんも十分に成長し、いつ陣痛がきてもおかしくない時期です。「陣痛はいつ始まるの?」「陣痛はどんな痛みなの?」と不安や疑問を抱える妊婦さんも多いです。

この記事では、陣痛の定義や前駆陣痛と本陣痛の違い、陣痛の痛みの特徴、病院へ連絡するタイミングなどについて、分かりやすく説明していきます。

監修プロフィール
現役助産師の顔写真
助産師
ひょうどう ゆか
兵頭 友華
京都大学医学部、京都大学大学院医学研究科を卒業後、都内の大学病院に入職して助産師として勤務。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務しつつ、産後支援を兼ね備えたニューボーンフォトグラファーとして活動。
目次

1. 陣痛とは?

陣痛とは、赤ちゃんを産み出すために起こる子宮の筋肉の収縮運動です。
陣痛は通常、約10分間隔の軽い痛みから始まります。陣痛が進行すると、子宮口が徐々に開いていき、痛みも増していきます。同時に、赤ちゃんが少しずつ産道に向かって下がっていきます。そして胎児が腟の方へ移動し、ママがいきむことで赤ちゃんが生まれてきます。

前駆陣痛と本陣痛の違い

出産前の陣痛には、本陣痛のほかに「前駆陣痛」があります。前駆陣痛は、陣痛の予行演習のようなもの。本陣痛がくる前に、不規則なおなかの張りや痛みを頻繁に感じることを指します。

前駆陣痛の最大の特徴は、その不規則性にあります。30秒から1分程度のおなかの張りや痛みが発生しますが、しばらくすると痛みがなくなります。一方、本陣痛は10分以内の間隔で規則的な痛みが継続して続きます。初めての出産では、この違いを判断するのが難しいこともありますが、時間の経過とともにその特徴がはっきりしてきます。

2. 陣痛から出産の流れ

陣痛が始まってから赤ちゃんが生まれるまでの過程は、大きく3つの時期に分けられます。それぞれの時期について、特徴と目安となる時間をご紹介します。

分娩第一期:子宮口が開く時期

陣痛が始まってから子宮口が全開(10cm)になるまでの期間です。陣痛の間隔が徐々に短くなり、強さも増していきます。初産婦さんの場合、この時期は12〜14時間程度かかることがあります。

分娩第二期:赤ちゃんを産む時期

子宮口が全開になると、いよいよ赤ちゃんを産み出す時期です。強い陣痛と共に「いきみ」を感じるようになります。赤ちゃんが産道を下りてくるのに合わせて、お母さんは陣痛に合わせていきみ、赤ちゃんを産道から押し出します。

初産婦さんの場合、この時期は1〜2時間程度続くことが多いですが、個人差が大きいです。経産婦さんではより短時間で進行することが多いです。

分娩第三期:胎盤を娩出する時期

赤ちゃんが生まれた後、胎盤を娩出します。通常5〜30分程度で完了し、これで正式に出産が終了します。

この時期に、子宮がお産で伸びた状態から元に戻ろうとして収縮する「後陣痛」が起こる場合があります。後陣痛は産後の出血を抑え、子宮の回復を助ける重要な役割を果たします。一般的に初産婦よりも経産婦の方が強い痛みを感じる傾向にあるといわれています。

3. 陣痛の痛みの特徴

陣痛が始まった当初は痛みはそれほど強くありませんが、子宮口が開くにつれて陣痛の間隔は短くなり、痛みが強くなっていきます。赤ちゃんが子宮口に向かって下がってくると、痛む場所も赤ちゃんの動きに合わせて下がってきます。

強い痛みを感じるのは、骨盤が圧迫された時です。赤ちゃんの頭が骨盤を通過し始めると、骨盤が強く圧迫されます。この時、多くの方が「腰の骨が砕けるような痛み」と表現する強い痛みを感じることがあります。

出産が更に進行し、赤ちゃんが子宮口に到達すると痛みはピークに達します。この時期には、強烈な便意を伴うような痛みを感じ、思わずいきみたくなる衝動に駆られることもあります。

4. 陣痛がきてからお産までの時間は?

陣痛が始まってから赤ちゃんが生まれるまでの時間は、個人差が大きく、初産婦か経産婦かによっても異なります。

初産婦の場合、陣痛開始から出産までおよそ10〜20時間かかることが多いです。経産婦の場合は、初産婦よりも短い時間で進行することが多く、全体で6〜10時間程度が目安となります。

ただし、これらはあくまで平均的な目安であり、陣痛の間隔や強さ、子宮口の開き具合など、さまざまな要因によって進行の速さは変わってきます。

5. 陣痛の前兆は?

出産が近づくと、体にさまざまな変化が現れます。これらの前兆は、陣痛が近いことを示すサインです。主な前兆には以下のようなものがあります。

前駆陣痛

前駆陣痛は前述のとおり、本陣痛が始まる前に不規則なお腹の張りや痛みを感じます。

臨月にあたる妊娠36週〜40週前後に起こることが多いですが、開始時期や前駆陣痛がどの程度続くかには個人差があります。

おしるし

おしるしは、子宮頸管を塞いでいた粘液栓が剥がれ落ちることを指します。薄いピンク色や茶色がかった出血が少量出てきます。

おしるしはお産の前兆の一つでありますが、数日以内にお産が始まる人もいれば、1週間以上陣痛が来ないという場合も。すぐに産まれるわけではないため、あわてて産院に連絡しなくても大丈夫です。

前期破水

赤ちゃんを包む卵膜が破れて、羊水が流れ出ることを破水といいます。

破水は一般的に陣痛が強くなってお産が進んでから起こりますが、陣痛が始まる前に起こることもあります。これが「前期破水」です。

破水が起きると赤ちゃんへの細菌感染のリスクがあるため、すぐに入院が必要になります。入浴やウォシュレットの使用は避け、病院へ速やかに連絡し、夜用ナプキンなどの清潔なパッドや、腰の周りにタオルを当てて、病院に向かいましょう。

その他の陣痛の前兆

その他にも、以下のような前兆が見られることがあります。

  • お通じが良くなる、下痢になる
  • 胃の圧迫感が解消される
  • 腰痛がひどくなる

これらの前兆は、必ずしもすべての方に現れるわけではなく、また、現れる順序や時期にも個人差があります。前兆を感じたら出産への心の準備を整え、わからないことがあれば担当の医師や助産師に相談しましょう。

6.  病院に連絡するタイミング

出産が近づいてきたら、適切なタイミングで病院に連絡することが重要です。以下のような状況では、速やかに病院へ連絡しましょう。

陣痛の間隔が規則的

陣痛の間隔が10分以内で規則的になったら、病院に連絡しましょう。初産婦の方は5〜7分間隔、経産婦の方は10分間隔を目安ににします。

お住まいが病院から離れている場合や、前回の出産が比較的スムーズに進んだ場合などは、少し早めに連絡するのが良いでしょう。

もし産院から出産時の病院への連絡タイミングに関する具体的なアドバイスを受けている場合は、その指示に沿って行動することが大切です。

破水したとき

破水が起きると赤ちゃんへの細菌感染のリスクがあるため、すぐに病院へ連絡して向かいましょう。

もし尿漏れか破水かの判断が難しい場合でも、迷わず病院に連絡してください。産院で検査を受けることで状況が明らかになり、破水の場合はすぐに入院になります。たとえ一時的に症状が収まったように感じられたとしても、一度破水があった場合、感染のリスクに変わりはないため、専門家の判断を仰ぎましょう。

陣痛・破水以外での連絡タイミング

陣痛や破水に関係なく、以下のような場合はすぐに病院へ連絡しましょう。

出血がある

おしるしのようにおりものに混ざる少量の出血ではなく、赤いサラサラの出血や生理二日目以上の出血量がある場合はすぐに病院へ連絡してください。赤ちゃんがお腹の中にいるにもかかわらず、胎盤が先に剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」になっている可能性があります。この病気は、突然発症して急激に進行し、ママと赤ちゃんの命の危険があるため、おかしいなと思ったらすぐに病院へ連絡してください。

おなかに異常な痛みや張りがある

急におなかに強い痛みが発生したり、おなかがカチカチに張った状態が絶え間なく続いている場合も、常位胎盤早期剥離のリスクがあります。迷わず病院に連絡しましょう。

胎動がない

お産が近づくと、赤ちゃんが骨盤の中へ入ってくるので、胎動が少なくなる傾向にはありますが、胎動がなくなることはありません。胎動カウントなどで確認をしつつ、心配な場合は病院へ連絡しましょう。

7. まとめ

この記事では、陣痛の痛みの特徴や前兆、病院へ連絡するタイミングについて説明しました。

陣痛が始まる前兆や病院に行くべきタイミングを理解することは、妊婦さんにとって非常に重要です。陣痛の前兆やお産の始まりは人それぞれですが、いざというときにあわてないように、適切な準備と知識を持って出産の準備を進めていきましょう!

ニューボーンフォトグラファーの写真
監修者紹介
ひょうどう ゆか
兵頭 友華
|助産師
京都大学医学部、京都大学大学院医学研究科を卒業後、都内の大学病院に入職して助産師として勤務。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務しつつ、USAGI PHOTOにて産後支援を兼ね備えたニューボーンフォトグラファーとして活動。
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