臨月とは?臨月の時期や起こる症状、過ごし方を解説【助産師監修】

妊娠期臨月陣痛前駆陣痛
2024-04-15

出産間近となった臨月は、妊婦さんと赤ちゃんにとって大切な時期です。出産が近づくと、臨月の過ごし方に漠然とした不安を感じることもあるでしょう。

この記事では、臨月の定義や妊婦さんと赤ちゃんの状態、臨月の過ごし方などをご紹介しております。ぜひ参考にしてみてくださいね。

監修プロフィール
現役助産師の顔写真
助産師
ひょうどう ゆか
兵頭 友華
京都大学医学部、京都大学大学院医学研究科を卒業後、都内の大学病院に入職して助産師として勤務。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務しつつ、産後支援を兼ね備えたニューボーンフォトグラファーとして活動。
目次

1. 臨月とは?臨月はいつから?

臨月は妊娠36週以降の出産予定日まで1ヶ月の時期を指します。一般的には赤ちゃんが外の環境に適応しやすい時期だと言われています。

実は「臨月」ということばは医学用語ではなく俗語であるため、病院ではあまり使うことはありません。

出産の時期を意味する医学用語は「正期産」です。正期産は、臨月に入って1週間後の妊娠37週0日から41週6日の期間です。赤ちゃんの体の器官や皮下脂肪が十分に発達し、生まれる準備ができている期間だと言われています。

臨月は月単位で定義された俗語のため、正期産とは1週のズレがあります。臨月の出産だとしても、正期産より前にあたる妊娠36週0日~36週6日までの出産は、医学的には早産に定義されます。

2. 臨月の赤ちゃんの状態

身長や体重はどれくらい?

妊娠35週末ごろのおなかの赤ちゃんの身長は約45cm、体重は約2000gが平均的な大きさとなり、妊娠39週末では身長が約50cm、体重が約3000gになります。臨月の期間で赤ちゃんの成長がぐんと進むのです。

身体の機能の成長状況は?

臨月の期間で体の全ての器官が完成していきます。腎臓の機能が成熟し、水分がしっかり処理できるようになり、むくみが取れて肌は張りのあるピンク色になっていきます。

全身を覆っていた胎脂が少なくなり、皮下脂肪がついてきて、赤ちゃんらしいふっくらとした体型になります。

姿勢はどうなっている?

出産に向けて赤ちゃんも準備をはじめるため、姿勢が変化します。姿勢はあごを胸につけ、手足を胸の前に引き寄せて、背中を丸めた状態になります。基本的には頭を下にした頭位になって、骨盤の中へ入っていき、生まれる時を待ちます。

3. 臨月の妊婦さんの状態

お産が間近に迫る臨月には、妊婦さんにもさまざまな変化が起こります。赤ちゃんの体重の急増に伴なって、妊婦さんの内臓が圧迫され吐き気がする、気持ちが悪いなどのマイナートラブルが起きることがあります。

しかし、出産に近づくと赤ちゃんの位置が少しずつ下がってくるため、胃の圧迫感は少なくなる傾向があります。その他にも、胸の圧迫感や動悸・息切れ等も減っていきます。反対に膀胱が圧迫されるので、尿漏れや頻尿などを自覚しやすい時期です。

4. 臨月によくある症状

吐き気がする・気持ち悪い

臨月にはお腹が大きくなって妊婦さんの胃や腸が圧迫され、消化機能が低下して食欲不振や胃のむかつき、吐き気などが起こりやすくなります。

また、前駆陣痛という陣痛が来る前に起こる子宮の不規則な収縮によって、腹痛や吐き気、嘔吐が起きることがあります。

胃腸に負担をかける甘いものや脂っこいものを控えたり、食後1~2時間は横にならないようにしたりすることで、吐き気を緩和することができます。

便秘・下痢

妊娠中に分泌される「プロゲステロン」は妊娠8~9ヶ月をピークに分泌量が増えます。このホルモンの影響によって腸の動きが鈍くなり、便秘になりやすくなります。

プロゲステロンの分泌量がピークを過ぎると、その後は出産に向けて分泌量が減っていくため、便秘が解消されたり、下痢になりやすくなったりします。

また、大きくなった子宮が腸を圧迫することで、便が腸とどまってしまい、便秘になることも。排便の際にいきむと破水することを怖く感じる妊婦さんも多くいらっしゃいますが、排便でいきむことで破水するケースはごく稀です。水分を取ったり内服したりして、便秘解消に努めましょう。

頻尿・尿漏れ

赤ちゃんが骨盤の中に降りてくると、膀胱が圧迫されて頻尿になりやすくなります。トイレを我慢すると膀胱炎になる可能性があるので、尿意を感じたら我慢せずにトイレに行くようにしましょう。トイレの回数が多くなるからといって水分を控えるのは避けてください。水分不足は便秘やめまいの原因になります。

臨月の尿漏れは多くの方が経験するため、ショックを受けなくて大丈夫。清潔なパッドを当てて対応しましょう。また、破水との見分けが難しいので、注意深く確認する必要があります。

眠い・眠れない

妊娠後期では、妊婦さんの身体は出産後の夜間授乳に向けて生理的に眠りが浅くなりやすい傾向があります。

また、お腹が大きくて寝苦しかったり、トイレが近くなることで何度も夜に目が覚めてしまうことから、眠りが浅くなりやすいです。

夜に睡眠を十分に取れない場合は、眠くなったときに昼寝をして体を休めましょう。出産までは昼夜を問わずに睡眠時間を確保して、体を休めることが大切です。

むくみ

赤ちゃんが大きくなることで、心臓に戻る太い血管が圧迫されるため、むくみやすくなります。また、分娩時の出血に備えて水分を身体に溜め込もうとすることも、むくみの原因の一つです。

むくみが気になる場合は、水分補給は減らさずに、塩分を控えるような工夫をするのがおすすめです。

恥骨痛・腰痛

子宮が大きくなり骨盤内へ下降すると、骨や血管が圧迫され、結果として恥骨痛や腰痛が起こりやすくなります。また、大きいお腹を支えようとして腰に負担がかかる姿勢を無意識的にとってしまうことも。

ストレッチやマッサージといった妊婦さん向けの運動によって血行を促したり、骨盤ベルトを使ったりすることで、腰痛を緩和することができます。

5. 臨月の過ごし方

ここからは、臨月の過ごし方についてご紹介します。

寝れる時に寝る

出産まではなるべく身体を休めることが非常に大切です。

臨月は生理的に夜の眠りが浅くなったり、お腹が大きいことや頻尿も眠りを妨げる要因です。夜に寝れない場合は無理に寝ようとせず、眠くなったらときにしっかり寝るようにしましょう。

入院・お産に備える

出産はいつ起こるかわかりません。予定日よりもかなり早く出産になることもあります。いつでも入院ができるように、荷物は準備しておきましょう。また、病院に行く基準や病院に行く手段などの知識も持っておいた方が安心です。

適度に動く

どんどんお腹が大きくなってくると、なかなか動くことが億劫になってしまいますが、適度に運動して心肺機能を鍛えたり、体力をつけておくことを勧めています。

初産だと、陣痛が始まってから出産まで10時間~15時間ほどかかることもあり、なかには1日がかりで陣痛と戦う方もいらっしゃいます。そのため、出産は非常に体力が必要になるのです。

また、運動によって筋肉を動かすと血流が良くなり、むくみがとれたり腰痛などの改善も期待できるので一石二鳥です。

運動は気分転換にもなるので、医師から安静の指示が出ていない場合は、無理な運動は避けながら定期的に身体を動かすのが良いですね。

6. まとめ

臨月は妊娠の最終月のことを指し、お産に近づいている時期です。いざとなった時にも安心して出産に臨めるように、出産の準備は早めからしておくのが良いでしょう。

不安なことがあった場合は医師や助産師に相談して、最後の1ヶ月をゆったりと楽しみながら過ごしてくださいね。

ニューボーンフォトグラファーの写真
監修者紹介
ひょうどう ゆか
兵頭 友華
|助産師
京都大学医学部、京都大学大学院医学研究科を卒業後、都内の大学病院に入職して助産師として勤務。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務しつつ、USAGI PHOTOにて産後支援を兼ね備えたニューボーンフォトグラファーとして活動。
カテゴリ:
妊娠期
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