妊婦健診とは?内容や費用、スケジュールを徹底解説【助産師監修】

妊娠期妊婦健診超音波検査
2024-04-10

妊娠が確定してから出産まで行われる妊婦健診。妊婦健診では、妊婦さんと赤ちゃんの健康状態を確認するために、必要な検査が行われています。

この記事では、妊婦健診の具体的な内容やスケジュール、健診にかかる費用について、助産師が徹底解説します。

監修プロフィール
現役助産師の顔写真
助産師
ひょうどう ゆか
兵頭 友華
京都大学医学部、京都大学大学院医学研究科を卒業後、都内の大学病院に入職して助産師として勤務。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務しつつ、産後支援を兼ね備えたニューボーンフォトグラファーとして活動。
目次

1. 妊婦健診とは?なぜ受ける必要があるの?

妊婦健診の目的は、妊婦さんの健康状態と赤ちゃんの成長を定期的に確認することです。

もし妊婦さんや赤ちゃんに異常があった場合、早期に適切な対処ができます。健康上の問題が起こる前に予防策を講じるためにも、妊婦健診は毎回受診するようにしましょう。

2. 妊婦健診の内容は?

すべての妊婦健診において以下の基本的な検査を行います。

● 基本的な検査内容
  • 血圧測定
  • 尿検査(尿たんぱく、尿糖、尿ケトン)
  • 体重測定
  • 超音波検査

これらの検査に合わせて、それぞれの妊娠週数に必要な検査が行われ、妊婦さんの健康や赤ちゃんの発育状態などを確認します。

3. 妊婦健診のスケジュールと内容

出産が近づくにつれて妊婦健診の受診間隔は短くなり、計14回の健診を行うことが推奨されています。

妊娠週数 基本的な検診の間隔
〜24週 4週間に1回
24週〜35週 2週間に1回
36週〜 1週間に1回

妊婦さんや赤ちゃんの健康状態に応じて、これよりも多くの健診が必要になることもありますが、基本的には健診の間隔が広がることはありません。

また、妊婦健診の内容は、妊娠の各段階(初回、妊娠初期・中期・後期)に応じて変わります。病院によってスケジュールや検査内容が異なることはありますが、一般的な妊婦健診の内容を妊娠段階ごとにご説明します。

3-1. 初回健診

初回の妊婦健診は「妊娠したかも?」と思ったときの健診を指します。主に下記のような状態が初回健診のタイミングです。

  • 妊娠検査薬を使って陽性反応が出た
  • 1週間以上生理が遅れている
  • いつもの生理とは違う出血があった
  • つわりのような吐き気や、胸の張りが続く、下腹部が張る

初回健診の目的は妊娠の判定であり、主な健診内容は以下のとおりです。

● 初回の妊婦健診の内容
  • 血圧測定
  • 尿検査
  • 経膣エコーによる超音波検査

また、妊娠は病気ではないため、健診の費用は全額自己負担となります。このため、費用は高額になる傾向がありますが、多くの自治体では母子手帳を交付する際に妊婦健診費用の補助券をもらうことができます。補助券を使うことで費用を一部負担してもらえるため、ぜひ活用しましょう。

3-2. 妊娠初期(〜23週):4週間に1回

妊娠初期の妊婦健診は、4週間に1回の頻度で合計4回受診します。
主に以下の検査を行います。

● 妊娠初期における妊婦健診の内容
  • 血圧測定
  • 尿検査
  • 体重測定
  • 腹囲、子宮底長の測定
  • 血液検査(初期に1回)
  • 子宮頸がん健診(初期に1回)
  • 超音波検査

基本的な検査に加えて、以下の検査を行います。

血液検査(期間内に1回)
血液型:分娩時に輸血が必要になった時や、赤ちゃんとの血液型不適合の可能性を調べるために行います。
貧血、血糖値:貧血があると分娩時に出血が多くなりやすく、また胎児の発育にも影響が出ることがあります。また、妊娠性糖尿病のリスクがあるかも確認します。
甲状腺機能:妊娠によって甲状腺機能に異常が起きることがあるため、血液検査で確認します。甲状腺機能低下症は流産、早産のリスクになります。
感染症検査:HIVやB型・C型肝炎抗原、HTLV-1などのさまざまな感染症の有無を検査します。

子宮頸がん検診(期間内に1回)
子宮頸がんが発見した場合には、がんの進行度によって「妊娠を継続するか、がんの治療を優先するか」の判断が必要になります。

超音波検査

妊娠初期には、膣内に超音波器具を挿入(経膣エコー)して検査します。赤ちゃんが正常に発育しているかどうかや、赤ちゃんの大きさから妊娠週数の再確認を行ったりします。
妊娠12週前後からは、赤ちゃんが大きくなり経膣エコーでは全体が見えなくなるため、お腹の上から超音波器具を当てて調べる経腹エコーに切り替わります。経腹エコーでは赤ちゃんの成長状況、羊水の量、胎盤や臍帯の位置などを調べます。
お腹の中の赤ちゃんを立体的に観察できる3Dエコーや、赤ちゃんの動く様子をリアルタイムで確認できる4Dエコーも、経腹エコーに分類されます。

3-3. 妊娠中期(24週〜35週):2週間に1回

妊娠中期の妊婦健診は、2週間に1回の頻度で合計5回受診します。
主に以下の検査を行います。

● 妊娠中期における妊婦健診の内容
  • 血圧測定
  • 尿検査
  • 体重測定
  • 腹囲、子宮底長の測定
  • 血液検査(期間内に1回)
  • GBS(B群溶血性レンサ球菌検査)(期間内に1回)
  • 超音波検査

基本的な検査に加えて、以下の検査を行います。

血液検査(期間内に1回)
妊娠初期と同様貧血や血糖値を測定します。

GBS(B群溶血性レンサ球菌検査)(期間内に1回)
GBSとは膣や直腸の常在菌のことで、赤ちゃんに感染すると肺炎や敗血症などの感染症を引き起こす恐れがあります。検査用の綿棒で腟口付近と肛門の周囲をこすり、検査を行います。

超音波検査

妊娠初期と同様に、赤ちゃんの発育状態に異常がないか確認します。
とくに妊娠24週を過ぎた時期あたりで、赤ちゃんの顔立ちが明確になり、表情も見ることができるようになります。
多くの病院では妊娠中期になると、経腹エコーによる超音波検査を行います。しかし、妊婦さんや赤ちゃんの状態によっては、早産リスクの確認のために経腟エコーを用いることも。

3-4. 妊娠後期(妊娠36週〜出産まで):週に1回

● 妊娠後期における妊婦健診の内容
  • 血圧測定
  • 尿検査
  • 体重測定
  • 腹囲、子宮底長の測定
  • 血液検査(血算、期間内に1回)
  • 超音波検査
  • NST(ノンストレステスト)

妊娠後期は、基本的にいつ出産に至ってもおかしくないため、1週間に1回の頻度で合計4回受診します。予定日を超過した場合1週間に2度健診を行う病院も多いです。基本的な検査に加えて、以下の検査を行います。

  • 血液検査:貧血の検査
  • 経腹超音波検査
  • NST(ノンストレステスト)

NSTとは、赤ちゃんにストレスがかからない状態(陣痛が始まっていない状態)で、赤ちゃんが元気かどうかを確認する検査です。

赤ちゃんの心拍とお母さんのおなかの張りを分娩監視装置という機械でグラフ化することで、「赤ちゃんが元気かどうか」を評価します。この手法は胎児心拍数モニタリングと呼ばれることもあります。検査時間は赤ちゃんの状態によって異なりますが、一般的には約40分程度です。

4. 妊婦健診にかかる費用は?助成はある?

妊婦健診の費用はすべて自己負担となり、1回あたりの検査費用はおよそ5000円~2万円です。妊婦健診の回数は、通常14回かそれ以上であるため、費用総額は10~15万円ほどになります。

しかし、日本の各地方自治体では、妊婦健診の費用を一部助成する制度が設けられています。この制度により、妊婦健診の自己負担額を減らせる補助券を受け取ることができます。補助券の枚数や補助額は自治体によって異なりますが、自己負担額を3万円~7万円ほど減らせることが多いです。
妊婦健診の補助券は、母子手帳を受け取る際に一緒に支給されます。
母子手帳はご自身が住んでいる市区町村の役所で発行されるため、事前に役所に問い合わせて確認を行いましょう。

また、妊婦健診の回数が予定より多くなり、補助券を使い切った場合は、全額を自己負担することになります。追加される検査の費用についても、事前に確認し、計画的に予算を管理することが大切です。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの症状の治療の場合は、保険適用での治療が可能です。

また、万が一医療費が高額になった場合でも、年間10万円を超える医療費については、税金の控除対象となります。自己負担分の医療費については、領収書を大切に保管し、確定申告時にはこれらの情報を申告するようにしましょう。

5. 妊婦健診を受けなかったらどうなるの?

妊娠の兆候に気づかない場合や、経済的理由などで健診を受けられない人も少ないですがいらっしゃいます。
妊婦健診を受けない場合、どのようなリスクを伴うのかを理解しておくことが大切です。

合併症の早期発見ができなくなる

妊娠中は免疫力が落ちていて、普段よりも病気にかかりやすい状態です。また、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症といった、疾患のリスクが高い病気もあります。
妊婦健診を受けずにいると、これらの病気を早期に発見し、適切に対処する機会を逃してしまう恐れがあり、病状が悪化することも考えられます。
さらに、母体だけでなく、赤ちゃんにも重大な影響を及ぼす可能性があります。

病院が受け入れられない可能性がある

妊婦健診を受けていない場合、出産時に病院から受け入れを拒否されることがあります
妊婦健診を受けていないと感染症の有無を確認できないため、他の患者や医療スタッフへの感染リスクを避けるために、受け入れを断る病院も少なくありません。
妊娠は喜ばしいことですが、それに伴うリスクについてもしっかりと理解し、母子ともに健康でいられるように妊婦健診は必ず受けましょう。

6. まとめ

この記事では、妊婦健診のスケジュールやかかる費用、また健診の重要性についてご紹介しました。
妊婦さんとお腹の中の赤ちゃんの健康を守り、順調な成長を支える妊婦健診は、その流れを理解していれば、より安心して臨むことができますね。

妊婦健診を受けないことには大きなリスクが伴います。自分自身と赤ちゃんの現在の健康状態を知り、適切なケアを受けるためにも、必ず受診しましょう!

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監修者紹介
ひょうどう ゆか
兵頭 友華
|助産師
京都大学医学部、京都大学大学院医学研究科を卒業後、都内の大学病院に入職して助産師として勤務。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務しつつ、USAGI PHOTOにて産後支援を兼ね備えたニューボーンフォトグラファーとして活動。
カテゴリ:
妊娠期
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