妊娠中の摂取NG・摂取上限がある食べ物を徹底解説!【助産師監修】

妊娠期食事葉酸
2024-03-25

妊娠中の食事はおなかの赤ちゃんに悪い影響を及ぼしたり、妊娠中の母体が敏感に反応しやすいものがあるため、注意が必要になります。

この記事では、妊婦が食べてはいけない食べ物や飲み物についての基本的な知識をご紹介します。

監修プロフィール
現役助産師の顔写真
助産師
ひょうどう ゆか
兵頭 友華
京都大学医学部、京都大学大学院医学研究科を卒業後、都内の大学病院に入職して助産師として勤務。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務しつつ、産後支援を兼ね備えたニューボーンフォトグラファーとして活動。
目次

1. 妊娠中に特定の食品を避けるべき理由

妊娠中は、いつも以上にお腹の赤ちゃんの健康を意識した食事選びが大切です。
普段何気なく食べたり飲んだりしているものでも、胎盤を通してお腹の赤ちゃんに届き、成長や発達に影響を与える可能性があります。

また、妊娠中は免疫力が低下するため、食中毒のリスクも高くなります。食中毒は、流産・早産・死産など、赤ちゃんの命に関わる深刻な問題を引き起こす可能性もあります。

大好きなあの味、今すぐ口にしたい!そんな気持ち、よくわかります。でも、妊娠中は、あなたと赤ちゃんにとって非常に大切な時間。二人の健康を第一に考えながら、食品や飲み物を選んでいきましょう。

2. 妊娠中は避けたい NGの食べ物・飲み物

2-1. 生肉

生肉や加熱が不十分な肉には、リステリア菌やサルモネラ菌、大腸菌などの食中毒菌や、トキソプラズマという寄生虫が含まれていることがあります。

特に妊娠中の方や免疫力が低下している方は、これらの菌や寄生虫に感染すると重症化のリスクが高まります。リステリア菌は、流産、死産、早産のリスクを高める可能性があり、トキソプラズマは、赤ちゃんの視力や認知発達に悪い影響を及ぼす可能性があります。

お肉は必ず中心部までしっかり火を通してから食べるようにしましょう。

2-2. 刺身(生魚)

魚介類は、お刺身やお寿司で味わうと格別ですよね。しかし、生魚、特に貝類には、ノロウイルス、ビブリオ菌、サルモネラ菌、リステリア菌などの細菌や寄生虫が含まれるリスクがあるため、妊娠中は控えましょう。

魚や魚卵を食べる場合は、焼き魚、煮魚、鍋料理など、十分に火を通すことで、安心してお召し上がりいただけます。

2-3. 生卵

生魚と同様に、生卵にも食中毒の原因となる菌が付着している可能性があります。胎児に影響を与える可能性があるため、生卵は避けましょう。

しかし、卵は栄養価の高い食材ですので、妊娠中も積極的に摂取したいものです。卵焼きや目玉焼きなど、しっかりと加熱することで安全に食べることができます。

2-4. 洗っていない野菜

洗っていない野菜の表面には、サルモネラ菌、リステリア菌、大腸菌などの細菌やトキソプラズマが潜んでいる可能性があり、妊娠中の人にとって食中毒のリスクが高くなります。野菜はきれいに洗ってから食べるようにしましょう。

2-5. ナチュラルチーズ

加熱殺菌されていない牛乳から作られたソフトチーズ(カマンベール、ブルーチーズなど)にはリステリア菌が付着している可能性があるため、迷ったら食べないようにしましょう。チェダーチーズやスイスチーズなど、より安全なスライスチーズを選ぶようにしてください。

2-6. アルコール

妊娠中にアルコールを摂取し続けると、胎児性アルコール症候群、重篤な先天異常、赤ちゃんの成長の問題、神経発達障害を引き起こす可能性があります。

また、アルコールの処理能力は個人差が大きく、少量の飲酒であっても悪影響を及ぼす可能性があるため、摂取を控えましょう。

3. 妊娠中に摂る量を制限すべき食品

妊娠中に完全に避けるべきはないですが、妊婦さんの体調や赤ちゃんの健康な発育を確保するために、とる量に注意すべき食品もあります。主に対象となる食品は次のとおりです。

3-1. 水銀を多く含む魚介類

魚は、たんぱく質やDHA、カルシウムなど、妊婦さんにとって良質な栄養素を豊富に含む食材です。
しかし、一部の魚介類には水銀が含まれている場合があり、多量に摂取すると、胎児の脳や聴覚、視覚の発達に影響を与える可能性があります。

そのため、厚生労働省でも以下の魚について、妊娠中の摂取量の基準を定めています。

週2回(1回80g換算)食べても大丈夫な魚
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ(インドマグロ)、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ…1回80gを週2回まで

週1回(1回80g換算)食べても大丈夫な魚
キンメダイ、ツチクジラ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、マッコウクジラ…1回80gを週1回まで

対策としては、水銀の少ない魚介類を積極的に選ぶことで、赤ちゃんの健やかな成長をサポートできます。

水銀を含まない魚
キハダマグロ、ビンナガマグロ、メジマグロ、ツナ缶、サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオ

これらの魚介類は水銀を含まないため、安心して積極的にとりいれましょう。ただし食べる場合は、十分な加熱処理を忘れずに。

3-2. カフェイン

カフェインの摂り過ぎは胎児の発育が阻害される可能性があるため、1日にコーヒーカップ1、2杯程度にし、飲みすぎに注意しましょう。カフェインレスコーヒーを飲むのも良いでしょう。

3-3. ヨウ素を多く含む食材(昆布など)

ヨウ素は摂りすぎると、赤ちゃんの甲状腺機能が低下すると言われています。海藻類、特に昆布にはヨウ素が豊富に含まれています。日本人の食生活では、昆布だしが頻繁に使われるため、毎日昆布だしを使うと許容量を超える可能性があるため注意しましょう。

いつも昆布だしを使っているという方は、代わりに、かつおだしやいりこだしなどを使うのもおすすめです。
また、直接のどにスプレーするヨウ素入りの外用薬も、過度な使用は控えましょう。

3-4. ヒ素を含む食材(ひじきなど)

ヒ素は健康被害を及ぼす成分ですが、ひじきに含まれており、妊娠中でなくても大量に食べ過ぎることは注意が必要とされています。妊娠中は乾燥ひじき5g(煮物小鉢1杯程度)を週2回までを目安にしましょう。

また、乾燥ヒジキの調理をするときは、水洗いや水戻し、またはゆでこぼしなどによって無機ヒ素の摂取量を減らすことができるためおすすめです。

3-5. ビタミンAを多く含む食材(レバー、うなぎなど)

ビタミンAは胎児の成長に欠かせない栄養素です。しかし、妊婦さんがとり過ぎると胎児の成長を妨げる可能性があることが知られています。妊娠3か月以内の妊娠初期は、ビタミンAを多く含む食品やサプリメントは控え、決められた推奨量を守るようにしましょう。複数のサプリメントを服用している場合は、ビタミンAの総量を確認しておくことが大切ですね。

特に多く含まれている、レバーなら串焼きを週に1本、うなぎは蒲焼きを週に1回までが目安とされています。続けて多く食べないようにしましょう。

3-6. 塩分や油分を多く含むもの(加工肉、インスタント食品など)

妊娠中は妊娠性の高血圧症候群を発症するリスクがあります。塩分や油分を多く摂取すると血圧が上がりやすくなり、むくみの原因にもなるので、量に注意しましょう。また、海外の研究では、ジャンクフードの摂取量が多いと小児肥満のリスクが増加し、感覚発達が障害されることが示されています。

3-7. 糖分の多いもの(スナック菓子など)

糖分をとりすぎると妊娠性の糖尿病を発症するリスクがあります。また、体重増加にもつながるため、妊娠中のスナック菓子やケーキ類は食べ過ぎに注意しましょう。

3-8. ハーブティー

ハーブティーはカフェインを含まないのでおすすめですが、妊娠中は避けた方が良いハーブや、飲むなら出産予定日に近づいてからにしておきたいハーブもあります。毎日のように飲みたい方は、妊婦に適しているかどうかを、専門店や医師に相談してみましょう。

4. まとめ

今回の記事では、妊娠中に食べてはいけないもの、食べる量を控えるべきものをご紹介しました。

中には意外なものもあったかもしれませんね。衛生面に気をつけながらバランスの取れた食事を心がけることは、母親自身とお腹の中の赤ちゃんにとって、安心して出産を迎えるための大切なステップです。

不安なことがあればかかりつけの医師に相談しましょう。医師と相談することで、自分に合った方法を見つけられることも多くあります。

健やかな食生活を通して、あなたと赤ちゃんが健康に出産の日を迎えられるよう、心から応援しています。

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監修者紹介
ひょうどう ゆか
兵頭 友華
|助産師
京都大学医学部、京都大学大学院医学研究科を卒業後、都内の大学病院に入職して助産師として勤務。現在は都内の産婦人科クリニックに勤務しつつ、USAGI PHOTOにて産後支援を兼ね備えたニューボーンフォトグラファーとして活動。
カテゴリ:
妊娠期
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